熱力学の入門
熱と力の関係を表す。熱力学。
この学問の発達により、蒸気から力学エネルギーを取り出すことができ、蒸気機関が作られ、イギリスで産業革命が起こりました。
我々の生活を激的に変化させた熱力学という学問。その一端に触れたいと思います。
まずは、温度という概念について、
電気を作るための火力発電所では、水を蒸発させ、ガスタービンが回っています。
水は100度で水蒸気になります。水は0度で氷になります。我々の体温は平均36度です。この度(℃)という単位。水の状態変化に都合よい数字だと思いませんか?
そもそも、熱というものは最初、何を持って0とするか、1とするか、図る基準とする対象がありませんでした。なので、華氏温度というのは、羊の温度を100度、海水の氷を0度として作られました。つまり、0度とは何か?物体が熱を発さない状態は何か、何度まで下がるのか?というのが最初の疑問でした。
最終的には、分子運動が停止したと推定する状態を0ケルビンとし、絶対温度を定めました。ここから、熱への探求が始まります。
重要なのは比熱(熱を伝わり方、比例定数)
比熱には定容、定圧の二種類がある。
(二通りの変化の仕方がある)
熱量は質量と比熱、温度をかけたもの。
上記の原理を説明したのがボイルの法則とシャルルの法則。
この方程式の特徴は運動量保存則とエネルギーの保存則の仲立ちをしている点。
ボイルの法則では圧力のパラメータがあり、シャルルの法則では温度と体積のパラメータがある。これによって、熱が力(圧力)に変換されていることが証明される。
しかし、理想気体をモデルとして構築された式なので使用条件がある。
- 気体分子に体積はない、質量はある。
- 分子間に引力が作用しない。
- 分子間は完全弾性体として衝突して、互いに結びつかない。
- 容器の壁も同じく。
なので、圧力が極端に高かったり、低かったりすると適用できない。
次に、熱力学第1法則のエネルギー保存則。
これは、加えた熱量が内部エネルギーの増加量(温度)と外部仕事(体積と圧力)に分配される法則のこと。
次に、熱力学第2法則の熱は高いところから低いところに流れ、熱平衡に至ること。
以上の性質を利用し、熱機関は考え出されました。最初に考え出されたのは可逆変化するカルノーサイクル。熱サイクルを利用したのは、冷暖房で使われるヒートポンプです。
さらに、分かったこととしては、エントロピーという存在です。同じ熱量を与えたはずが、効率が落ちて、出力される。例えば、ピストンの摩擦を伴うサイクルではエントロピーは増加することになり、熱効率が低下します。
内部エネルギーとエントロピーの違いはまた今度、詳しく説明したいと思います。
また、実用例としては、冷凍機の熱サイクル、蒸気エンジン、タービンを使用するときの再熱サイクル、ロケットエンジンの熱サイクル等があげられます。
今後、考察したい内容
熱力学と流体の関係。上記では、流れを考慮していない。
3種類の伝熱について(熱力学第2法則による)
- 熱放射(ステファン・ボルツマンの法則)
- 熱の移動速度が温度の4乗に比例して伝わる現象。
- 熱伝達(ニュートンの冷却の法則)
- 流体の流速が早くなると熱移動速度も早くなる。
- 熱伝導(フーリエの法則)
- 高温域から低温域へ熱が移動する。温度差に比例して、移動距離に反比例する。
さらに3つが合わさった複合熱伝達。
長くなりましたが、今回はここまで!
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