21世紀,コンピュータはムーアの法則に従って,どんどん処理性能が上がっています.
最近では,量子コンピュータも夢じゃないとか..
コンピュータの威力はすさまじく,今では,自然科学以外でも,社会科学,経済学,心理学,様々なところで,モデルが構築され,予測が行われています.
この,モデル化から,現在の僕たちの思考方法を探っていきます.
古典力学(ニュートン力学)の世界では,すべてを簡素化し,必要な要素だけ抜き出して,純粋な運動を探しました.
惑星の運動では,内部構造を考慮せずに,質点に置き換えることで,その動きの予測を可能とさせています.
初等物理学の特徴
- 物体を質点として扱う
- 二体問題までしか扱わない
- 線形化を行う
実際に物理を勉強して,現実世界で上手くいかないのは,様々な要素を排除して,方程式を単純化しているから,上手くいかないということです.
また,この本では,解析的に解ける問題がどこまでかということに言及しています.
三体問題は解析に解けないというのが,このコンピュータ物理が登場してきた要因でもあります.
世の中には,三体問題以上の問題や,非線形問題というのは沢山あります.
非線形な問題について,いくら線形問題を重ね合せても,非線形化は出来ないので,実際の問題をそのような方法で解くのは難しいということです.これが従来の手法の限界.
また,カオスとソリトンについての発見は,毎回悩まされていた,非線形現象について解決方法としての概念を与えてくれています.
この,カオスとソリトンについて,もう少し学校や大学で詳しく言及してくれていれば,実験屋にとって新しい視点の獲得になるような気がします.
また今度,それについての本は読みたいと思います.
コンピュータを使うことで,相互に干渉しあう自然現象に迫る.非線形現象についての研究も盛んに進んでくれることを願っています.
コンピュータ物理とは何か,これを考える時,僕たちは毎回,どんなプロセスを経て,自然という膨大な情報を解析しているのか,考えさせられます.解析できない問題は沢山あります.そこで数値計算を使って,問題を解く.ここにコンピュータを用いた科学の強みがあります.
物理学には,理論物理学,実験物理学という区分があるのですが,一般的に,自然からある一つの現象を取り出したモデル(方程式)の純粋な能力を考察して,現象を発見するのが理論物理学,実験から測定を行い,その中から規則性を発見したり,理論物理学で導き出した答えを探るのが実験物理学です.
では,コンピュータ物理学って??
これは,実験物理学でも実証できない領域をシミュレーションを通じて,新たな原理を見つけるというものです.
コンピュータ物理の世界―三体問題からカオス、ソリトンまで (ブルーバックス)
- 作者: 神原武志,内藤正美,佐々木直幸,渕上信子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1990/12
- メディア: 新書
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